『機動戦士ガンダム 水星の魔女』について

2023/01/29

前提:ガンダムシリーズをこれまで一つも見たことがない。ロボットアニメとしては一応、マクロスFを視聴済。


OP・ED・BGM

とても良い

戦闘シーン

いい感じ ガンビットの動きが快い


2話くらいまで

学校というか人工都市(?)のセキュリティが割とガバくないか

・殺人兵器が発動されるまで紛れてることに気づかんで大丈夫か
・一個人が構内に勝手に忍び込んだり出てったりできてしまってるが

でもこういう穴が最初から描かれていると、最終盤のテロもまあ当然かという感じになるのでいいのかもしれない。


中盤、エラン関連

胸糞エピソードで終わる。設定としては綾波レイ的な感じなのだがスレッタは結局気づかないのか……という。彼は序盤の方で「人間を好きにはならないよ」と言っていたので、「お、性愛分からない系の話かな?」と思ったら違った。同病相憐れみたかったのか。


ミオリネ

誰と絡んでもいまいち魅力の分からないキャラクターだった。スレッタとの関係では昔の男性オタク向け作品の横暴系ヒロインの名残を感じさせるし、誰が花婿になるかを自分で決めたいとは思ってても婚姻制度が何を意味するのかは特に考えていないようであるし。恋人だからって相手に一方的に行動規制かけることができると思ってるなら10年前でも20年前でも真っ当じゃないだろう(ということは高校生時点からでも学んでいくべきだと私は思う)。というか父親を勝手だとキレ散らかす割にあなたも大概偉そうですよね……

父親との関係についてもたびたび疑問符が浮かぶ。ことあるごとに父親に一泡ふかそうみたいなことを口走ったり実際にやったりするのだから、まだ自分の主張が父に届くと信じているように私には見える。何言っても無駄だと思っているならそんなことはしないだろう。彼女の父親に反抗する行動が私には「興味を持って、私を見て」という呼びかけに見える。というか彼女は本当に地球に行く気があるのだろうか? 本当に地球に発てば父との連絡も途絶えるわけで、彼女は結果的に自分の主張をぶつける仮想敵も失う。それは彼女にとって一番の痛手ではないのだろうか。

私としては、親としてだけではなく、一人の人間として生きてきた親、そこまで強大でも恐ろしくもないちっぽけな親の存在を発見してこそ、自分のイメージの中の父を殺すことができるのだと思う。だから最後、負傷した父とそれを間近に見た彼女の今後には期待が持てる。

微妙だったエピソードの一つは、第7話でカンパのために父の権威を借りたこと。あのとき利用できるものは何でも利用することが必要なのだったとしても、ミオリネが頭を下げて父の協力を取り付けたことは、結局、地位が上の人間の見立てに追従する男社会の権威主義を彼女が認めたことにはならないだろうか。それを成熟と寿ぐことができるのだろうか。クソみたいなルールに合わせるのを美談のように描いていいのか? 慣習や資本のリアリズムを真っ向から否定するのでも頭を下げてアツく認めるのでもなく、そのルールに乗りつつシラケている彼女の精神を見せてほしい(悪態をつきつつ事業の進め方を父に聞きに行く彼女の姿は唯一それっぽかった)。


スレッタとエアリアル

スレッタが受ける綽名の「魔女」といえば被迫害者のイメージがあるので、彼女の髪色が赤であることには何か含みを感じる。赤毛の人は人類全体でみると比較的に珍しいので、文化圏によっては特別に賞賛されたり侮辱を受けてきたりしたようだし、現代でも赤毛を理由に傷害事件の標的になったり自殺に追い込まれたりも起こっているらしい(wiki)。まあ二次元キャラの髪色にどうこう言うのもアレだが、黒でも金でも茶でも緑でもなく赤にした理由は何らかあるのだろう。

スレッタのキャラクターには、少女漫画のひとつの主人公像に通ずるものを感じた。少女漫画の主人公には、振る舞いや身なりが洗練されていない、家族からの教えに忠実、テンプレな学園生活に憧れている、他人の悪意に鈍感、そのスレてなさが周りを救う、等といった一つの類型がある。有名どころでは、『フルーツバスケット』の本田透や、『君に届け』の黒沼爽子を想起してもらえるといいだろう。自分はこのような主人公は嫌いではないし、少女漫画文化への一つの参照があった気がしてうれしかった。

ただ注意すべきなのは、こういうタイプの主人公はべつに「聖なる愚者」あるいは「愚かな聖者」としてだけ描かれるわけではないということだ。先に例示した作品には(そして今回の作品にも)、主人公の卑屈なところや、人並みに傷つく場面が必ず含まれている。キャラとして悪意に鈍感であっても、それは何しても傷つかない無敵だということではない。明敏そうに見えない奴はのんきに幸せに暮らしているはずだというのは、自称感じやすい人間の僻みだろう。


エアリアルについてはわからないことが多い。スレッタと意思疎通しているかのような描写があったり、なにか子ども(達?)が中にいるような描写があったりで、不穏な感じだ。スレッタと意思疎通できるのは、エアリアルの中の人が彼女の血縁者でゲノム的に近いからとかそういうロックマンエグゼ的な理由なんだろうか。次期が気になるところである。

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